Tableau Free Editionの利用規約を読んでみる

Tableau Free Editionが発表された時、一時的に界隈は盛り上がったように思いますが、改めて利用規約をちゃんと見てみましょう(きっかけは、先日使おうと思って改めて確認した、というところです)。

なお、本ブログには公式見解などは含まれていないため、内容に疑問がある場合は、原文を読んでいただき、勤務先企業の社内の法務見解やSalesforce社に確認していただくようにお願いします。あくまで、参考として捉えてください(私は何も保証しません)。本記事は、基本的にはGeminiと相談しながら解釈したものとなります。

結論だけ先に申し上げると、かなり利用制限は厳しいです。Free版を使う場合は、必ず法務確認を行うことをおすすめします。なお、個人利用はTableau Publicを使うというのが正解です。

実際に使う場合の利用用途でいけそうなのは・・・

  • 個人的に分析し、知見を得るための用途
  • 社内に限る資料作成に利用(スクショ)

くらいでしょうか?

学習用途としては、規約上他人のTableauワークブックが開けないため、使い方として向いていないのではないかと思います。そのような用途ではやはりTableau Publicを使うのが良いと思います。

ちなみに、機能差は以下のとおりです。

機能Tableau DesktopTableau Desktop FreeTableau Public
料金有償無償無償
商用利用可能グレー不可
接続可能データ制限なし制限なしローカルファイル、Googleスプレッドシート
データの保存先ローカル、TableauServer、TableauCloudローカルローカル、Tableau Public
扱えるデータ行数制限なし制限なし1,500万行

Tableau製品のEULA(End User Licence Agreement)はどこで見れる?

Tableau 製品のEULAはこちらから見ることができます。Tableau Publicに対してはまた別の場所から入手可能です。

Tableau Desktop Free Editionについては、Supplement(補足条項)としてTableau DesktopのメインのEULAとは別に提供されています。

今回はこのSupplement(補足条項)をメインで見ていきます。

全部見ると大変なので、ポイントだけ見ていきましょう。もちろん、このEULAは英語で書かれていますが、今回はMSのCopilotで翻訳しました。

気になるポイント

ベンチマーキングのための利用は不可

まず、最初の方に気になる文言があります。

The Software may not be accessed for purposes of monitoring its availability, performance or functionality, or for any other benchmarking or competitive purposes.

これは、日本語では、「また、本ソフトウェアは、その可用性、性能、機能の監視、その他ベンチマークまたは競争目的のためにアクセスしてはなりません。」となります。

そのままですが、他社比較用に使ってはだめ、ということです。確かにタダで使われた上に、機能比較されたらたまったものではない、ということでしょう。

ちなみに、これは有償版にも書かれているので、一貫してそのように記載されている、ということになります。

競合他社は利用不可

また、競合他社は利用不可、とのことです。「Salesforceとの直接の競合他社」とのことですね。

SFDC’s direct competitors are prohibited from accessing the Services, except with SFDC’s prior written consent. 

ただ、Salesforce社に事前に書面による同意があればオッケーとのこと(そんなことあるのか?)。

これも有償版にも書かれている内容となります。有償版のEULAを見ずにこっちだけ見る人もいる想定で改めて書かれているのでしょうか?

オフラインアクティベーションが提供されるとは限らない

The Free Software may only be activated and used on devices that have internet connectivity sufficient to register with SFDC’s licensing and identity services, and SFDC is not obligated to support any offline activation or use that bypasses such registration.

日本語だと、「Free Software は、SFDC のライセンスおよび ID サービスへの登録に十分なインターネット接続を有するデバイス上でのみアクティベートおよび使用することができ、SFDC は、そのような登録を回避するオフラインでのアクティベーションや使用をサポートする義務を負いません。」となります。

旧バージョンへのアクセスを無効化または制限されることがある

SFDC may require Customer and its Users to install and use a particular minimum or current version of the Free Software as a condition of continued access to the Free Software, and may disable or limit access to older versions.

「SFDC は、Free Software への継続的アクセスの条件として、Customer およびその Users に対し、特定の最低バージョンまたは現行バージョンの Free Software のインストールおよび使用を求めることができ、旧バージョンへのアクセスを無効化または制限することがあります。」

インストール先は一人1台だけ

Unless otherwise set forth in the Documentation, Customer may copy and install on Customer’s computers for use only by Customer’s Users one copy of the Free Software for each User’s sole individual use.

日本語訳:「Documentation に別段の定めがない限り、Customer は、自らの Users のみが使用するために、各 User の個人的かつ単独の使用に限って、Customer のコンピューターに Free Software のコピーを 1 部ずつ複製およびインストールすることができます。」

記載の通り、一人1台だけしか使えないようです。

制限事項

さて、「6. Usage Restrictions」を見てみましょう。以下の内容を、行ってはならないし、第三者に行わせてもだめ、と書かれています。

(a) circumvent any restrictions, usage limits or licensing requirements applicable to Customer’s use of any paid Tableau Products, or provide an alternative distribution mechanism for Tableau Content (including, without limitation, emailing, file transferring, or placing files on shared network storage for access by others) in lieu of other licensed Tableau Products; (b) use any equipment, device, software, or other means designed to circumvent or remove any Software Authorization or copy protection used by SFDC in connection with the Free Software, or use the Free Software together with any authorization code, product key, credential, serial number, or other copy protection device not supplied by SFDC; (c) use the Free Software to provide services, dashboards, reports, or other outputs to, or for the benefit of, any third party, including any Customer client, vendor or affiliate thereof; (d) use the Free Software to develop a product that converts any SFDC file format to an alternative report file format used by any general-purpose report writing, data analysis or report delivery product that is not the property of SFDC; (e) connect to or interact with Tableau Server or Tableau Cloud (including without limitation connecting to published data sources or publishing workbooks, data sources or other content); (f) remove any product identification, proprietary, copyright, trademark, service mark, or other notices contained in the Free Software; (g) use the Free Software in a way that could lead to death or bodily injury of any person, or to severe physical or environmental damage (the limitations of liability in the MSA shall not apply to breaches of this section); or, (h) open, modify, or use within the Free Software any Tableau file, workbook, dashboard or data source (“Tableau Content”) that was created, authored, or saved by any person other than the specific User authorized to use the Free Software; or share, distribute, transfer, or otherwise make available any Tableau Content created within the Free Software to any other person or entity, including other Users within Customer’s organization. For clarity, sharing of insights derived from the Free Software is restricted to static, non-interactive formats (e.g., screenshots, PDF exports) that do not allow the recipient to access the underlying data or analysis structures. The prohibitions in this Section apply regardless of whether the Software technically prevents such actions.

有償版のライセンス要件(ライセンス数)を回避するために利用するのは禁止

日本語訳:「(a) Customer による有償 Tableau 製品の使用に適用される制限、使用上限、またはライセンス要件を回避すること、または他のライセンス済み Tableau 製品の代わりに Tableau Content の代替配布手段(電子メール送信、ファイル転送、共有ネットワークストレージへの配置などを含むがこれらに限られない)を提供すること。」

Free版を提供するにあたり、これが一番Salesforce社が言いたい内容かと思います。配布されたTableauファイルを開くために利用するのはNGということです。

社外に対して成果物を提供するのは禁止

日本語訳:「(c) Customer の顧客、ベンダー、関連会社を含む第三者に対し、またはその利益のために、Free Software を用いてサービス、ダッシュボード、レポートその他の成果物を提供すること。」

社外の組織に対しての活動がこれで制限されます。レポートとあるので、スクリーンショットなども抵触すると思います。ブログを書く際はTableau Publicを使いましょう。

Tableau形式のファイルのコンバーターを作るために利用禁止

日本語訳:「(d) SFDC に帰属しない汎用レポート作成、データ分析、またはレポート配信製品で使用される代替レポートファイル形式に、SFDC のファイル形式を変換する製品を開発するために Free Software を使用すること。」

あまりこういう視点の条項があるとは想定してなかったのですが、Tableau以外のツールでTableauのファイルを開くためのコンバーターを、Free版を使って作っては駄目なようです。有償版でも明確に書かれていませんが、競争目的のアクセス禁止、ということで実質的には禁止のようです。

Tableau Server/Cloudに接続するのは禁止

日本語訳:「(e) Tableau Server または Tableau Cloud に接続または連携すること(公開済みデータソースへの接続、ワークブック・データソースその他コンテンツの公開を含むがこれらに限られない)。」

あくまで個人利用想定なので、Tableau ServerやTableau CloudへパブリッシュするのはNGです。Tableau Server/Cloud上のデータも使えない、ということになります。このあたり、有償製品の代替とみなし、NGということかと思います。

ハイリスクな業務への利用禁止

日本語訳:「(g) 人の死亡または身体傷害、あるいは重大な物理的損害もしくは環境損害につながるおそれのある方法で Free Software を使用すること(MSA の責任制限は本項違反には適用されません)。」

ハイリスクな業務での利用を禁止しています。これは、有償版でも同様のことが書かれています。航空航行、生命維持装置、大量破壊兵器、原子力施設の運用などで利用しないようにする必要があります。

他人の作ったコンテンツの利用禁止、得られた知見はスクショやPDFエクスポートに限る

日本語訳:「(h) 特定の Free Software 使用許可を受けた User 以外の者が作成、著作、または保存した Tableau ファイル、ワークブック、ダッシュボード、またはデータソース(以下「Tableau Content」)を Free Software 内で開く、変更する、または使用すること、または Free Software 内で作成された Tableau Content を、Customer 組織内の他の Users を含む他の個人または法人に共有、配布、移転、その他利用可能にすること。明確化のために付言すると、Free Software から得られた知見の共有は、受領者が基礎データまたは分析構造にアクセスできない静的かつ非対話的な形式(例:スクリーンショット、PDF エクスポート)に限られます。本条の禁止事項は、Software が技術的にそのような行為を防止しているか否かにかかわらず適用されます。」

ここがFree版のキモかと思いますが、他人が作ったTableauファイル(twbファイルなど)をFree版で開くことを禁止しています。同じように、FreeEditionで作成したTableauファイルを他の人に渡すのも禁止しています。唯一できるのは、スクリーンショットもしくはPDFエクスポートであれば良いよ、ということを言っています。しかも、組織外に対してはスクショも禁止です(第三者のための利益に使えないという条項があるため)。

つまり、この作り方がわからないからTableau Publicやネットで公開されているTWBXファイルをダウンロードして使う、というのも禁止されている、ということになります。組織内でもだめなので、社内の有識者が作ったものすら開けないということです。

そうなると、組織内の個人的な分析用途、スクショなどで社内のレポートに使う、というのが正しい使い方、ということになります(範囲狭いですね・・・)。

実際、Salesforce社のニュースリリースを読んでみても、そんなに広い範囲で使えるようなことは書いていません。

Salesforce社から要請があった場合、適切に利用されていることを証明する必要がある

「7. Usage Certification」はなかなか厳しいことが書かれています。個人的には、一番リスクが高い内容なのではないかと思います。

Upon SFDC’s written request, no more than once annually, Customer shall furnish SFDC with a signed statement certifying that the Free Software is being used pursuant to the terms of the MSA and this Supplement, including any access and User limitations, and provide a current list of Users. If SFDC reasonably believes Customer has violated the MSA or this Supplement, SFDC may review Customer’s use of the Free Software, and Customer’s software monitoring systems and records, provided such review occurs during regular business hours and SFDC provides reasonable prior notice. If the review reveals non-compliance, SFDC shall, in addition to its rights under the MSA, have the right to either require Customer to comply or terminate access to the Free Software.

日本語訳:「SFDC の書面による要請があった場合、年 1 回を超えない範囲で、Customer は、Free Software が MSA および本補足条項の条件(アクセス制限および User 制限を含む)に従って使用されていることを証明する署名済み声明書を SFDC に提出し、現時点の Users 一覧を提供しなければなりません。SFDC が Customer による MSA または本補足条項違反を合理的に疑う場合、SFDC は、通常の営業時間内に、かつ合理的な事前通知を行った上で、Customer による Free Software の使用状況および Customer のソフトウェア監視システムと記録を確認することができます。確認の結果、非遵守が判明した場合、SFDC は MSA に基づく権利に加えて、Customer に是正を求めるか、または Free Software へのアクセスを終了させる権利を有します。」

箇条書きで要約してみましょう。

  • SFDCは書面で以下の内容を要請可能
    • 適切に利用しています、という声明を会社から提出すること
    • 現在の利用ユーザー一覧を提出すること
  • 条項の違反を疑う場合、利用状況を監査する権利
  • 遵守できていない場合は、是正を求める、もしくはFree版のアクセスを終了させることができる

これはなかなか厳しいですね。Free版とあなどっていると、企業側は適切な管理を求められる、ということになります。適当にダウンロードして使っていて、組織内で利用者が増えてくると急にSalesforceからメールが飛んできて、適切に利用しているかどうか出してくれ、と来る可能性がある、ということでしょうか?正直なところ、Free版を使っているだけの場合、組織だって使われるわけではないので、このあたりおざなりに利用される可能性が高いと思います(本来は法務確認してリスクを考慮し、情シスで統制を取る、というのが筋ですが、Free版に対してどの程度の企業でこれをわざわざ行うのでしょうか?)。

Salesforce社が危惧しているのは、有償バージョンの代わりに使われること、なので、それを防ぐための条項と見ることができるかと思いますが、Salesforce社の一存で色々とできてしまうので、気をつけた方が良さそうです。

個人が学習のために自宅PCにインストールして使うことができますか?

総合的に判断すると、これはどうなのでしょうか?

Gemini、ChatGPT、Claudeにそれぞれ聞いてみましたが、判断として色々な解釈がありました。

Gemini:できない(Free版を使うには、すべて組織として契約され、組織が管理するPCにインストールはできないため「できない」)

ChatGPT:できる(契約は個人としてもできるから問題ない)

Claude:グレーゾーンだが、できる

とのことです。これのために、有償版と無償版のEULAを読み込ませています。

気をつけないといけないのが、ChatGPTは読み込みが若干浅かったので、素直に受け取っていいのかどうか、というところです。

Geminiの解釈では、契約時にすべて組織として契約する、と解釈しています。そのため、その組織の施設内ではない個人のPCにインストールすることをNGと解釈しています。また、Free版の利用状況を確認するために、SFDCはソフトウェア管理システムと記録を確認する権利を持つ、とあります。それは個人のPCに対してできるの?ということも言っています。

また、利用する際はそもそもTableauID必要ですが、TableauIDを取る際もビジネス用のメールアドレス、と書かれているため、Gmailで個人で取るのもまた微妙な話です(システム的に弾かれたかどうか、やってないのでわかりません)。ここを指摘すると、ChatGPTもClaudeも利用可能というところから若干グレーみたいな意見に変わりました。

そもそも、TableauIDを会社のメールアドレスで取った時点で、Salesforce社としてはその組織が取った、と解釈される可能性が高いため、そう主張されると言い返すのが難しくなる、というリスクもあります。

コンプラが厳しい組織では、会社メール禁止、私物PC禁止、とされると利用規約上利用不可となります。例えば、Salesforceから監査が入った場合のリスク的には、会社からはグレーと判断される可能性があります(私用で会社のメールアドレスを使わないでくれ、と)。

とはいえ、Salesforce社として個人学習を全面禁止にしたいか、といわれると、実態としてはそこまでではないのでは?とも思いますし、ClaudeやChatGPTはそのあたりに言及しており、Claudeは、「Tableauの公式サイトや学習コミュニティは学習利用を事実上推奨している」「SFDCがこの用途を積極的に取り締まっている事例は見当たらない」ということを言っており、利用規約的にはわざわざ個人の学習用途を考慮して作成しておらず(そもそもTableau Publicあるし)、有償版の置き換えされないのを念頭においた契約になっているため、変な穴にならないように気を使って作られている、と考えられるのではないかと思います。

結論としては、基本的に個人学習ではTableau Publicという選択肢があるので、わざわざFree版を使わないのが無難、というのが最終的な結論かと思います。

結構会社の法務でもこのあたり判断が分かれるかと思います。気になる場合は、法務見解を持ってSalesforce社に問い合わせした方が良いのかもしれません。Salesforce社がオッケーといったとしても、会社のメールアドレスは禁止、と法務が判断した時点で利用できなくなるので要注意です。

まとめ

  • Tableau Free Editionの利用規約を読みました
    • ベンチマーキングのための利用は不可
    • 競合他社は利用不可
    • オフラインアクティベーションが提供されるとは限らない
    • 旧バージョンへのアクセスを無効化または制限されることがある
    • インストール先は一人1台だけ
    • 有償版のライセンス要件(ライセンス数)を回避するために利用するのは禁止
    • 社外に対して成果物を提供するのは禁止
    • Tableau形式のファイルのコンバーターを作るために利用禁止
    • Tableau Server/Cloudに接続するのは禁止
    • ハイリスクな業務への利用禁止
    • 他人の作ったコンテンツの利用禁止、得られた知見はスクショやPDFエクスポートに限る
    • Salesforce社から要請があった場合、適切に利用されていることを証明する必要がある
  • 個人が学習のために自宅PCにインストールして使うのはグレーという判定でした(AIと相談した結果)
    • SalesforceがOKといっても、所属組織がNGといったらNGの可能性あり(TableauIDをどう取るかにも依存している)

契約書的には、組織内での個人的な利用に限られ、有償版ライセンスの数を減らすような行為は禁止される、というのが基本的な考え方のようです。それに伴い、無償版で作ったものは、スクショとPDFは社内利用に限り利用可能で、社外利用は不可、それ以外のTableauコンテンツは共有が不可となります。他人の作ったTableauコンテンツでさえ利用不可なのはかなり厳しいです。

最後に、個人PCで勉強に使うには、制限がないTableau Publicを使うのが基本かな、と思いました(ノーリスク)。

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