Looker Studioはテキストの名称から地域に対応させることが可能です。地域に対応させることで、GeoCodingが行われて地図上に表示が可能ですが、どのようなタイプがどのように表示されるかはやってみるまでわからないところがあるので、今回試したいと思います。
ちなみに、データソースとして、Google社が公開している「地域ターゲティング」を用いていきます。これには正式な英名が記載されているため、これをリファレンスとしていきたいと思います。
都道府県レベル
日本国内で一番上位レベルといえば、都道府県になるかと思います。これは比較的どのBIツールでもそのまま利用できるケースが多いように思います。Looker Studioでもそれほど問題なく表示できました。今回は以下のようなデータを入れてみます。ポイントは、漢字名称は通称的な使われ方をしている東京、京都、大阪、北海道、といった記載で、都道府県という項目は都道府県の名称をフルネームで入れています。Target Typeより左は元ファイルの記載そのままです。

都道府県レベルの設定は、Looker Studioの「データソースを編集」からフィールドのタイプを「地域」の「地方行政区画(第1レベル)」に変更します。

塗り分けマップ
設定はこちらで行います。グラフ設定の「設定」タブの「フィールド」の「位置」に表示したい項目を設定します。

これらを正常に表示できた場合、塗り分けマップでは以下のように表示されました。

今回のデータでは、以下の項目を正常に地域に対応させることができました。
- Name
- Canonical Name
- 漢字名称
- 都道府県
バブル地図、接続マップ、複合マップ
いずれもポイントとして地図上では表現されます(各都道府県の中心)。

今回のデータでは、塗り分けマップと同様、以下の項目が正常に対応させることができました。。
- Name
- Canonical Name
- 漢字名称
- 都道府県
接続マップは各都道府県の中心点を接続したラインになります。

マップチャート
マップチャートはGoogleMapベースのものではありません。設定時は、最初に「設定」タブの「ズームエリア」を「日本」に変更する必要があります。その上で、「地域ディメンション」に都道府県を示す項目を選択する必要があります。

正常に対応すると以下のようになります(今回は、指標としてCriteriaIDを入れています)。

対応させることができた項目は以下の通りです。
- Name
- 都道府県
例えば、「青森」とかだとNGで、「青森県」までフルの名前で入れないと対応しないようです。その割には、英語名だと「Aomori」はOKですが、「Aomori, Japan」というCanonical NameではNGでした。
ラインマップ
「ラインマップ」は都道府県には対応していません。
市区町村レベル
市区町村レベルの設定は、Looker Studioの「データソースを編集」からフィールドのタイプを「地域」の「地方行政区画(第2レベル)」に変更します。
Google社が公開している「地域ターゲティング」には、830市区町村しかなく、2023年12月時点の1883市区町村からすると大幅に不足しています。ですので、これは使えません。他のデータを探してみると、総務省の「全国地方公共団体コード」の「都道府県コード及び市区町村コード」がきれいに対応させることができます。また、国土数値地図の行政ポリゴンのデータ「行政区域データ」を加工することでもリストを作成可能です(少し面倒ですが)。
基本的に、政令指定都市の区は表示できません。区が許容されるのは東京23区のみです。「郡」でも対応させることはできますし、郡の下の「町」「村」でも対応させることが可能です(郡でのポリゴンもありますし、町、村のポリゴンも存在しています)。国土数値地図の行政ポリゴンを使う場合は、単純に名称を結合できないので要注意です。このあたりは総務省の「全国地方公共団体コード」の「都道府県コード及び市区町村コード」が使いやすいです。
また、色々とやってみると、うまく対応できないケースがあるようです(石狩市は「北海道石狩振興局石狩市」としないと対応しない一方、新冠町は「局」を入れると紐づかない、東京都の離島も「庁」が入ったらNGのものとそうでない、など)。また、山武市や稲敷市などはポリゴン形状がおかしいようです(隣の市と重なって表示されたりしています)。ポリゴン形状がおかしい市区町村は全国に散らばっています・・・。これは、国土数値地図の行政ポリゴンで色々といじってみないとわからないですね・・・(Googleさん直して!)。
塗り分けマップ
Google社が公開している「地域ターゲティング」データ
Google社が公開している「地域ターゲティング」を使ってみましょう。データとしては以下のとおりです。

Canonical Nameだと正常に対応させることができますが、Nameだと同じ名称の自治体が存在するため、うまく対応させることができないデータが発生してしまいます。いずれにしても持っている自治体の数が少ないため、以下のように歯抜けになってしまいます。

総務省の「全国地方公共団体コード」の「都道府県コード及び市区町村コード」
次に、総務省の「都道府県コード及び市区町村コード」を使ってみます。ただ、総務省のデータは、都道府県と市区町村が別のフィールドになっているため、これを一つのフィールドに合体する必要があります。これにより以下のようなデータになります(FullNameというフィールドが作成したもの)。

これはシンプルなデータとなっており「郡」などはなくて、都道府県名+市区町村レベルのみで政令指定都市の区なども入っていないデータとなります(なお、都道府県のみのレコードは削除しています)。これにより、以下のようにプロットされます。

一部白くなっている部分は、Looker Studio側に何かしらの問題があるであろうと思われるポイントです(石狩市、釧路市、網走市だけは局名が必要なのでうまく出ていません)。
一方、このデータを使う場合は、郡のデータがないため、郡でまとめたい時は別のデータを使う必要があります(あまりないかもしれませんね・・・)。
国土数値地図「行政区域データ」
国土交通省の国土数値地図の「行政区域データ」は、Shapeファイルなので若干使いにくいかもしれません(Excelなどで読み込めないため)。また、少し加工をしなければうまく使えません。ただし、こちらは「郡」の情報を持っているため、うまく加工すればうまく使えると思います。
なお、北海道の「局」、東京都の「庁」のポリゴンはほとんど持っていないようでした。
結論的に、
[N03_001]:都道府県名
[N03_002]:局名
[N03_003]:政令指定都市、郡、庁名
[N03_004]:市区町村名
とすると、以下のように処理すればかなりのポリゴンを表示できます。
[N03_004]が石狩市、網走市、釧路市の場合:[N03_001]+[N03_002]+[N03_004]
[N03_003]の最後の1文字が「市」の場合:[N03_001]+[N03_003]
[N03_003]の最後の1文字が「郡」「庁」の場合:[N03_001]+[N03_004]
上記以外:[N03_001]+[N03_004]

バブルマップ、ヒートマップ、複合地図
これ以降は、国土交通省の国土数値地図の「行政区域データ」を加工したものを使っていきます。バブルマップは以下のように表示されますが、普通に使えますね。中心点は役所あたりにありそうです(たまに間違ったところにあることがあるので要注意)。

マップチャート
マップチャートは市区町村に対応しておらず、塗りつぶしはできません。ただし場所として認識はするため、ポイントデータとして表示されます。が、いまいち使い勝手が良くない感じなので、普通にバブルマップを使った方が良さそうです。
ラインマップ
「ラインマップ」は市区町村には対応していません。
PostalCode(郵便番号)
郵便番号の設定は、Looker Studioの「データソースを編集」からフィールドのタイプを「地域」の「郵便番号」に変更します。
郵便番号は、基本的にポイント情報となります。アメリカの郵便番号は塗り分けマップでも表示できるらしいのですが、残念ながら日本の塗り分けマップには対応していません。
試しにハワイの郵便番号の塗り分けマップを作ってみました。

さて、郵便番号を表示する場合ですが、他の国とかぶる数値で書かれているため、そのままだと他の国に対応してしまう郵便番号が出てくるため、一工夫必要です。郵便番号のあとにカンマ区切りで「JP」と入れておきましょう。例えば皇居の郵便番号は100-0002であれば、「100-0002,JP」と記載します。
これは、Looker Studioの「フィールドを追加」から以下のような計算フィールドを作成することで簡単に対応できます(Nameというフィールドに「100-0002」といった郵便番号が入っています)。

気をつけないといけないのが、大量のポイントを表示しようとすると、例えばGoogle社が公開している「地域ターゲティング」でも約4000ポイントあります。マップのタイプによってはうまく開かない(白紙のままになる)ため気をつけてください。
バブルマップ、ヒートマップ、複合地図
バブルマップでは、以下のようにプロットできます。

ヒートマップ、複合地図も問題なく描画可能です。
ラインマップ、塗り分けマップ、マップチャート
今回は大量のデータを表示しようとしたためか、画面が白いままでうまく表示できませんでした(メモリ不足?)。また、ラインマップはこのようなデータではそもそも有効に機能しません(描画は可能です)。マップチャートはズームエリアの設定が日本にできませんでした。元々塗り分け非対応のデータなので致し方ないかと思います。
まとめ
- 都道府県レベルは、フィールドのタイプを地域の「地方行政区画(第1レベル)」に変更することで、比較的に簡単に表示することができました。基本的にすべてのマップに対応しています(塗り分け、バブル、マップチャート等)
- 市区町村レベルは、フィールドのタイプを地域の「地方行政区画(第2レベル)」に変更することで、簡単に表示することができました。塗り分けマップにも対応していますが、割り当てる文字列に若干の癖があり、さらにポリゴンが一部不正確になっているので要注意です。バブルマップなどにも表示することができました。
- 郵便番号は、フィールドのタイプを地域の「郵便番号」に変更することになりますが、そのままだと他の国とかぶるので、「,JP」を付け加えましょう。これにより、簡単に表示することができました。基本的に日本の郵便番号はポイントデータとなります。バブルマップやヒートマップに描画する使い方が主になると思います。
実験に使ったデータ
※作成にはAlteryx、Excelを使用しています
- Map_PrefectureLevel.csv:Google社が公開している「地域ターゲティング」に漢字名を付与したデータ。日本の都道府県のみ抽出。著作権はCC4.0。geotargets-2023-12-13.csv.zipより抽出しています。
- Map_CityLevel_Soumu.csv:総務省の「全国地方公共団体コード」の「都道府県コード及び市区町村コード」から都道府県名を取り除いたデータ。000925835.xlsより抽出しています(令和6年1月1日更新のもの)。
- Map_CityLevel_Kokudo.csv:国土数値地図の行政ポリゴンのデータ「行政区域データ」を加工したデータ。N03-20230101_GML.zipより抽出、加工。
- Map_PostalCode.csv:Google社が公開している「地域ターゲティング」から日本のPostal Codeのみ抽出したもの。著作権はCC4.0。geotargets-2023-12-13.csv.zipより抽出しています。
- 2024年2月18日時点に取得したデータです
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