Alteryxで行う空間分析について解説するシリーズです。
今回は、商圏の作成方法について解説していきたいと思います。
Alteryxで商圏を作成するには?
商圏は、「ある場所から周囲500m圏内とする」、などある特定の場所からの距離として定義します。場合によっては時間的な距離であることがあります。例えばGoogleで検索してみると、コンビニの商圏は徒歩2~5分とのことなので、だいたい350m程度と定義できるようです。では、この350mをAlteryxで表現してみたいと思います。
これを表現するには、特定の点から350mで円を描けばオッケーです。このタスクを行うためには、「バッファ」ツールもしくは「商圏分析」ツールを使います。
基本的な考え方は同じなので、どちらでも似たようなことはできるのですが、商圏を作る際に便利なオプションを持っているため、商圏を作る際は「商圏分析」ツールが適しています。
バッファツール
バッファツールは指定した空間オブジェクトから指定距離分のところに線を引き、ポリゴンを作成するツールです。つまり、ポイントなら指定した距離のサイズの円が作成されます。ラインやポリゴンであれば、指定距離分拡大/縮小されたポリゴンが作成されます。
以下は、各ポイントから200mの円を描いたものです。
なお、設定はもととなる空間フィールドの指定と、バッファする際のサイズくらいです(もちろん単位も選択可能です)。
ちなみに、レコードごとに指定したフィールドの値でバッファを描くことも可能ですので、店舗によって商圏が変わるような場合はこのオプションを使うのも良いかもしれません。以下はこの機能を使った例です。
なお、それぞれのポイントに対して円を描くため、距離が近いと重なる部分ができてしまいます。商圏分析として考えると、重なった部分をどうするか、という悩みが出てきます。これを加工してなんとかすることもできますが、一般的には商圏分析ツールが簡単に解決してくれます。
商圏分析ツール
商圏分析ツールは商圏分析に特化したツールです。データソースはポイントに限られます(ポリゴンやラインを入力すると無理やり中心点からの商圏を作成してしまいます)。
バッファとの違いは、ポイントをソースにした場合に絞ると、「オーバーラップを除外する」というオプションが使えることでしょうか。以下は、バッファツールと同じく200mの商圏を作成していますが、オーバーラップを除外するオプションを有効にしています。
上の例で重なっていた部分が、等分されて表現されています。
なお、「オーバーラップを除外する」オプションは、レコードごとに指定したフィールドから値を持ってくる場合は利用できません。
ところで、オプションをよく見ると、単位のところに「ドライブタイム」というのが存在していることに気づいた方がいらっしゃるかもしれません。これは追加の有償のデータセットを購入すると使えるオプションで、時間的な距離を指定することができるオプションです(車で移動したときの時間、ということです)。ただし、残念なことに日本ではこのデータセットは販売されていないのです・・・。
時間的な距離を考える場合
簡易的に時間で置き換えて考える場合、例えば駅徒歩10分以内の住宅を探したいような場合、大人の平均的な徒歩スピードを考えると、距離は800m程度と言われています。これがわかればバッファ/商圏分析ツールを使うことができます。つまり移動手段で速度がわかるため、移動時間とその速度を使えば距離が出せる、ということになります。
まとめ
- Alteryxで商圏を作成する方法をご紹介しました。
- バッファもしくは商圏分析ツールで商圏の作成が可能です。
- 商圏分析ツールでは、重なった部分を取り除くことが可能です。
- バッファツールであれば、ポイント以外のラインやポリゴンについても拡大したり縮小したりすることができます。
- 時間的な商圏を作成したい場合は、移動手段(移動スピード)と移動時間で距離に換算しましょう
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