Alteryx Designer Advanced Certification試験を受けた感想

筆者はDesigner Expertまで保持していますが、一年経過したためすべての試験が再取得可能な状態になっているので、久しぶりにDesigner Advancedを受けてみました。改めてAdvanced試験について見ていきたいと思います。

Alteryx Designer Advanced Certificationとは?

Designer Advanced試験は、Alteryx Designerの高度な使用能力があることを証明する試験です。オープンブックなので、インターネット上のあらゆるリソースが活用可能ですが、他の人のアシストを受けたり、誰かが代理で受験したり、試験の回答が載っている無許可の出版物を見て受験するのはNGという形になっています(とはいえ、オンライン試験だから何してるかわからないのですが・・・)。

いずれにしても、オープンブックである分、検索したらなんとかなる試験ではなく、実際に手を動かして回答する「Practical application question(応用問題)」が4問出てくるのと、この4問で全体の半分以上の得点を占めている、というのが特徴です。日頃からしっかりDesignerを使ってワークフローを作っていないとなかなか合格は難しい、という試験です。

ちなみに、40問中4問が実際に解く試験で、残りの36問は多肢選択式ですが、多肢選択式の問題も部分点が取れる代わりに、多くチェックしすぎた場合は減点されるようです。

ちなみに、2020年の3月末に取得した時からかなり問題の傾向は変わっているように思います(当時はデータ調査カテゴリとかなかった気がします)。

ちなみに、試験は英語のみです(2023年5月時点では)。Chromeの翻訳機能などをうまく使いましょう(すべてのテキストは選択したりコピーしたりはできないため、Chromeの拡張機能を使って翻訳するしかありません。もしくは、、、スマホのカメラで翻訳する機能を使うか・・・)。

試験概要

試験の概要をPrep Guideから紐解いていきたいと思います。

  • 受験資格:Designer Core資格を持っていること
  • 難易度:上級(Advanced)
  • 価格:無料
  • 試験タイプ:オンライン、オンデマンド(いつでもすぐに受けられます)
  • 時間:2時間
  • バージョン:AMP Engineをオフにした状態の最新版のDesigner Desktop
  • 受験可能回数:7日ごとに1回
  • 問題数:40
  • 問題のタイプ:36問の多肢選択式問題と4問の応用問題
  • 合格スコア:80%
  • ポイント:多肢選択式は1点、応用問題は10点。「Select all that apply」の場合、部分点と減点があります。
  • 利用可能リソース:オープンブック型の試験。Alteryx Community、ヘルプドキュメント、公開されているウェブサイトの情報、サンプルワークフローやDesignerに組み込まれているあらゆる情報
  • 利用不可リソース:他の人のアシストやなりすまし、回答の窃盗や試験の回答が書かれている無許可の出版物の利用。詳しくは「Alteryx Certification Agreement and Policies」を御覧ください。
  • 再認定:有効期限は2年間。再度Designer Advancedに合格するか、Designer ExpertもしくはMasterレベルの試験に合格すれば再度認定されます。

出題範囲について

出題範囲をPrep Guideから読み解いてみましょう。

まず、前提としてはCore資格を取得しているとのことなので、Core試験に出てきたようなツールは当然のように使える必要があります(とはいえ、それらのツールについてことさら聞かれたり、ということはありません)。

Advanced Preparation(準備の上級)

対象ツール

  • 複数行フォーミュラ
  • 複数フィールドフォーミュラ
  • ランダム%サンプリング

問われる内容

  • 与えられた出力になるように、String関数のフォーマットを正しくする
  • 与えられた日付を変換するフォーマットや区切り文字を特定
  • 複数の行の値を使って複数行フォーミュラの式を構築する
  • 複数行フォーミュラツールの「存在しない行の値」オプションを正しく設定する
  • フィルターツールで、複合条件の結果を確認する
  • ランダム%サンプリングツールで、出力のためのレコードをどのように選択し処理するかを確認する
  • 複雑な式の出力を確認する

受験した感想

「確認する」、というのは複数の出力が与えられた時に提示された設定がどれに該当するか、もしくは複数の設定が与えられた時に提示された出力に該当する設定はどれなのか、を選択します。

意外と日付の問題が出るように思いました。複数行フォーミュラもさくっと作れるようにしておきましょう。

Advanced Join & Parse(結合とパースの上級)

対象ツール

  • 複数結合
  • 正規表現

問われる内容

  • 複数結合ツールの結果のレコード数がいくつになるか
  • 与えられた入力から与えられた出力にするための正規表現式を確認する
  • 正規表現ツールの「一致」と「パース」出力の違い
  • 複数結合ツールが、マッチしないレコードをどのように処理するか確認する

受験した感想

正規表現と複数結合は結構出ます。正規表現式はしっかり抑えておきましょう。いずれのツールも、テキスト入力に問題分のインプットデータを入力し、実際にツールを動かしてみるのが良いと思います。

Spatial Analytics(空間分析)

対象ツール

  • 空間カテゴリのグリッド作成、スムージング、ヒートマップ以外のツール(バッファ、ポイント作成、距離、最寄り地点検索、一般化、ポリビルド、ポリゴン分割、空間情報、空間マッチ、空間プロセス、商圏分析)

問われる内容

  • どのツールがポリゴンの中心点を作成できるか確認
  • T(Target)入力とU(Universal)入力の間の結果の違いを理解しておく
  • 最寄り検索ツールのT入力、U入力の機能の違いを理解しておく
  • 2つの空間オブジェクトの交点(Intersection)で作成されるものを特定
  • 凸包(Convex Hull)の出力結果を確認
  • 距離ツールにて、ポリゴン内のポイントが「最も近い辺までの距離を返す」設定の時にどのような出力をするか
  • ポリラインやポリゴンのノードの数を減らすツールを確認
  • ドーナッツ形状を作成するために商圏分析ツールを設定できるようにする
  • 集計ツールやフォーミュラツールの空間機能を利用する

受験した感想

各ツールのT入力、U入力についてはしっかり抑えておきましょう。どのように判定され、どのように出力されるか。実際に利用するシナリオにもとづいて柔軟にどちらに入力するか、を決定できる必要があります。

また、空間ツールは、複数のデータを複数のフィールドとして持つのか、レコードとして持つのか、ツールによって使い分けする必要があるので、そのあたり慣れておく必要があります。場合によっては空間ツールではなく複数行フォーミュラ・フォーミュラや集計ツールを使って処理を行う必要があります。

空間ツールも使う職場、使わない職場がくっきりと分かれるツールカテゴリですので、使わない場合はしっかりとWeekly Challengeなどで練習しておく必要があります。

Reporting(レポーティング)

対象ツール

  • インタラクティブチャート
  • レイアウト
  • オーバーレイ
  • レンダリング
  • レポートマップ
  • レポートテキスト
  • テーブル

問われる内容

  • レポートスニペット(レポート用ツールの結果)を重ねて配置できるツールを特定する
  • 与えられたレポートを作成するツールを確認
  • レポートマップツールのデフォルトでの出力結果を理解しておく
  • インタラクティブチャートツール、テーブルツールの設定オプションを理解しておく
  • レンダリングツールでレポートスニペット(レポート用ツールの結果)を書き出す方法を確認
  • レポートツールでバッチレポートを実現する方法を確認
  • レイアウトツールでスニペットを配置する方法を確認

受験した感想

レポーティングツールは個人的にはそんなに難易度が高い気はしないのですが、あまり使ったことないと結構きつい気がします。このカテゴリも、使う職場と使わない職場がくっきり分かれるイメージです。

Macros(マクロ)

対象ツール

  • コントロールパラメーターツール
  • マクロ入力
  • マクロ出力

問われる内容

  • 与えられたシナリオで、どのタイプのマクロが適切か(標準マクロ、反復マクロ、バッチマクロ)
  • 反復マクロが出力するデータの数を確認
  • マクロエラーの標準的な理由を確認
  • マクロインターフェースのデバッグ方法
  • マクロと分析アプリの機能の差を理解しておく
  • Engine.IterationNumberの使い方を理解しておく
  • バッチマクロと反復マクロの設定方法を理解しておく

受験した感想

インターフェースカテゴリの各ツールだけではなく、インターフェースデザイナーもしっかり抑えておきましょう。

Analytic Applications(分析アプリ)

対象ツール

  • 条件、日付、DCM接続を除くインターフェースカテゴリのツール(アクション、チェックボックス、ドロップダウン、エラーメッセージ、ファイル参照、フォルダー参照、リストボックス、マップ、数値増減、ラジオボタン、テキストボックス、ツリー)

問われる内容

  • チェーンアプリの設定方法
  • 与えられた分析アプリのインターフェースを作るインターフェースツールを特定
  • インターフェースとワークフローのツールの間にアクションツールが必要となる場合を判断する
  • 分析アプリで入出力するためにどのインターフェースツールが必要か特定
  • ドロップダウンツールで必要となる正しいフォーマットを理解する
  • ユーザーがマップツールで利用できるアクションを特定する
  • 分析アプリがエラーを出す一般的な理由を特定する

受験した感想

チェーンアプリも抑えておきましょう。インターフェースカテゴリはツールの数が多いため、すべての把握はなかなかしんどいかもしれません。

Data Investigation(データ調査)

対象ツール

  • アソシエーション分析
  • フィールドサマリー
  • 度数分布表
  • ピアソン相関
  • 散布図
  • スピアマン相関

問われる内容

  • データ品質において、指摘や提案を行うツールを特定
  • ピアソン相関ツールの出力を解釈し、最も強い相関を持つ値を特定
  • スピアマン相関とピアソン相関の違いを理解する
  • スピアマン相関ツールの出力を解釈する
  • 与えられたグラフを作成する散布図ツールの設定を特定
  • p値(p-value)をどのように見つけるか決定する

受験した感想

単なるツールの使い方だけではなく、ピアソン相関とスピアマン相関、p値など若干統計的な知識が求められます。アソシエーション分析、ピアソン相関、スピアマン相関ツールの違いを抑えておきましょう。私のブログの記事「Alteryxの予測モデルのための予測変数(量的変数)の選び方」も参考になるかと思います。

また、度数分布表、フィールドサマリーツールもどのようなものか理解しておきましょう。こちら「Alteryxの予測モデルのためのデータ準備(1)」が参考になるかと思います。

Practical Application(応用問題)

問われる内容

  • 実際のシナリオの問題を解決するためにCore試験のツールも含めて上記ツールを使用する能力を測ります。いくつかのデータセットが提供され、正しい答えにたどり着くワークフローを構築する必要があります。
  • 問題を正確かつ効率的に解決する能力は、このセクションで測定される重要な上級スキルです。試験の制限時間は、職場における効率性の重要性を反映しています。
  • 実践的な応用問題は、試験のポイントの半分強を占めています。
  • 4つの実践的応用問題は試験の最初に出題されますが、どのような順番で問題を解いても構いません。

受験した感想

出題される問題の難易度は、Weekly Challengeの初級~中級くらいの問題かと思います。ただ、比較的素直な問題である気がします(Weekly Challengeはちょっとひねたりした問題が多いので)。

Prep Guideにも書いていますが、最初の1回目も学習の一環で受験しましょう、とありますので、何度もやっていると同じ問題にあたるかと思います(そこで時間を節約!)。正直なところ結構速度を求められるので、この応用問題は一筋縄ではいかないかと思います。

Helpやサンプルを見ながらなんとか解けます、のレベルだと時間的に結構きついのがこの応用問題です。

過去問として、Prep Guideに載っている問題と、Advanced Certification Learning Pathに載っている問題の2問を解くことができるので、ぜひ解いておいてください。レベル的にはまさにこれらの問題がどんぴしゃりです!(過去問だから当たり前ですね・・・)。

受験上のヒント

Prep Guideにはいくつかヒントが書かれています。

ペースと合格ラインについて

「1点の多肢選択式問題には、1問あたり90秒。10点の応用問題は16分の時間が与えられています。また、過去の問題に戻ることもできるため、2時間をじっくり使いましょう」とPrep Guideにあります。私が受験したときは最初に応用問題が4問連続で出てきたので、そこで64分費やしてもオッケーということになります(が、最初に半分時間取られると結構あせると思います・・・)。

合格スコアが80%なので、単純に計算して10×4+36=76点がマックスと考えると、合格ラインは60.8点ということになります。ここから言えるのは、15.2点しか落とせないため、応用問題を1問落とすと残り5.2点しか余裕がなくなります。36問中5問以内に失点を抑えないといけなくなるので、応用問題を1問落とすとかなり痛い、ということになります(7カテゴリが平均的に出題されるとすると、1カテゴリあたり1問以内に失点を抑える必要があります)。

逆に、応用問題を全部取れば、36問中15問落とせるので、多肢選択式問題は6割程度できれば良い、ということになります。1カテゴリあたり2問、もしくはまるっと2カテゴリ落とせるくらいのレベルになります。

以上から考えると、複数行/フィールドフォーミュラ、複数結合、正規表現、空間、レポート、インターフェース、データ調査、など全体的に自信ある方は応用問題を1問くらいは落としてもなんとかなりそうですし、逆に全体的に自信のない人は応用問題はなんとか全問取りたいところです。

いつでもどの問題にも飛べます

「See all questions」というのが左上の方にあるので、これを使えばいつでも戻れますし、「Bookmark」を各問題につけることができるので、自信がない問題にはブックマークをつけておいてあとで見返す、ということも可能です。

Prep Guideの模擬問題を解いてみる

Prep Guideには6問の模擬問題が掲載されています。多肢選択式の問題と応用問題もあるので、雰囲気がつかめるかと思います(模擬問題によく似た問題も出るので、これらの問題はクリアできるようにしておきましょう)。

テキスト入力ツールを使って実際に解いてみましょう

テキスト入力ツールに、出てきた問題のインプットデータを入力して、時間の許す限り実際にツールを設定して解いてみることをおすすめします。

その他Prep Guideにかかれている注意事項

  • 注意深く問題文を読みましょう
  • 何度も見返しましょう

学習方法について

Prep Guideに記載してある学習方法を見てみましょう。

Advanced Certification Learning Path

コミュニティのラーニングパスシリーズの1コンテンツが「Advanced Certification Learning Path」です。残念ながら英語版しかまだありません(2023年5月時点)。

英語が得意な方はぜひ受けてみてください。基本的には、インタラクティブレッスンとAdvanced Certification Prepシリーズのビデオ、ツールマスタリー、Weekly Challengeをまとめただけのコンテンツです。

ただ、こちらにも練習問題があり、Generalのところにある「Practice Questions」でクイズに答えることができます(なんと応用問題も1問あります。過去に受けたことがある問題なので今は使われていない過去問なのだと思います。UFOを目撃した場所のカウントを取得する問題です)。

ビデオシリーズ(英語)

Weekly Challenge(日本語・英語)

Advanced Certification Learning Pathからリンクの貼られているウィークリーチャレンジを集めてみました。日本語版があるものは日本語版のリンクがあるのでそちらを試してみてください。

パース
結合
空間分析
レポーティング
マクロ
分析アプリ

Weekly Challenge

先程、Advanced Certification Learning Pathのところでリンクの貼られているウィークリーチャレンジを紹介しましたが、「ウィークリーチャレンジ INDEX」には「認定試験レベル」のラベルがありますので、このタグで効率的にウィークリーチャレンジを解くことができます。とはいえ、2023年5月でもAdvancedラベルの付いている問題は133問もあるので、これを全部解くのはさすがに難しいかと思います。

Prep Guideでは、各トピックスごとに最低10個のウィークリーチャレンジを解くことを推奨しています。ウィークリーチャレンジに設定されているラベルをうまく使って効率的に学習してみてください。

アドバイス的なもの

Advancedになると一発合格、というのもなかなか難しいかと思います。2020年に合格するまで私も何度も受験しました。レポート、空間、マクロ、分析アプリ、正規表現、データ調査、とすべてを業務内でカバーするのはなかなか難しいです。たいていどこかの領域に偏るのが自然です。そのため、ある程度Advancedを目標として学習しないと取れないのがこのAdvanced試験です(Server Administratorなどはサーバー使っていれば慣れてきて取れるのと比べると対象的です)。

Designerに慣れていないと、応用問題でかなり時間が足りなくなるかと思います。日頃からDesignerに触れてワークフローを作成し続けましょう。一番良い課題はやはりウィークリーチャレンジです。

1週間に1度は受験することが可能なので、何度もトライしてみる、というのも良いかと思います(とはいえ、1回で2時間消費するのは痛いですよね・・・)。何度もやっていると応用問題もやったことがある問題ばかりになり、時間的に余裕が出てくると思います。

とにかく、諦めずにチャレンジしていただければと思います。回数でカバーできるのがAdvanced試験です!

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